弁護士費用と遅延損害金②
2025/12/23
1 はじめに
前回、ちょっと特殊な損害項目として弁護士費用と遅延損害金があることをお伝えしました。
今日は、遅延損害金について、ご説明します。
2 遅延損害金とは
一般に、交通事故等の不法行為に基づく損害賠償請求の場合、不法行為の日(事故の日)から損害賠償請求権が発生し、遅滞に陥っている考え方が取られています。
そのため、賠償額の全額が支払われるまで、元金に対する遅延損害金が発生しています。2020年4月以前の事故の場合には年利5%、同月以降は年利3%です。
加害者が事故に誠実に向き合わずに放置した場合はもちろんですが、保険会社との示談交渉が長引いているといった理由を問わず、損害賠償がなされていなければ、遅延損害金は発生しています。
しかし、これも示談交渉の段階では、保険会社は一切負担しません。
裁判になった場合の扱いは、弁護士費用と同じように、和解の段階では調整金名目で、判決になった場合には満額認められるという処理が基本になります。
2 どうすべきか
弁護士費用と遅延損害金について、保険会社が示談交渉の段階では一切認めないことは既にお伝えしました。
しかし、これは見過ごせない損害項目です。たとえば、事故から1年経過していれば、13%上乗せになります。改正前の事故で、事故から3年が経過していれば25%上乗せになります。
もちろん、これら満額が認められるのは判決に至った場合ですが、和解の段階でも一定程度は考慮されますし、もともとの損害額が大きければ、考慮される額も大きくなります。
したがって、後遺障害が残存したケースや、死亡事故の場合等の、損害額が大きくなる事故の場合には、弁護士費用と遅延損害金の上乗せを検討して方針を決めることになると思います。
意外と知られていない問題だと思いますので、交通事故の被害者の方は、是非、頭に入れておいていただけましたらと思います。
河口法律事務所では、損害賠償の回収可能額の見込みを踏まえて、最適な方針を提案するよう努めております。交通事故でお困りの方は、是非、河口法律事務所にご相談ください。
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