弁護士費用と遅延損害金①
2025/12/22
1 はじめに
交通事故の被害者にとって、適正な損害賠償を受けることは非常に重要です。
損害賠償の項目については、治療費、通院交通費、休業損害、逸失利益、慰謝料(入通院慰謝料、後遺障害慰謝料)といったものが典型的で、これらについては、何となく聞いたことがあったり、イメージがしやすいと思います。
症状固定によって(事案によっては後遺障害認定の後)、損害が確定し、保険会社と示談交渉に入ります。
その際、保険会社も、上記損害項目については、裁判基準に照らして満額を支払うかは別ですが、交渉の土俵には挙げてきます。
しかし、保険会社は、弁護士費用と遅延損害金という項目については、示談交渉の段階では一切応じないことが多いです。
2 弁護士費用とは
一般に、日本では、紛争解決のために弁護士を選任することが強制されているわけではありません。そのため、ご自身が依頼された弁護士の費用は、ご自身で負担するのが原則です。
しかし、交通事故や医療過誤といった事故を原因とした損害賠償請求(不法行為に基づく損害賠償請求)の場合、実務的には、請求額に10%の弁護士費用を上乗せして請求することが広く行われています。
正確には、訴訟を提起した段階では、原告(被害者)側が請求額の10%を上乗せしますが、裁判所は、判決で認容した額の10%を認めることが多いです。
交通事故の場合、弁護士特約という商品が普及しており、これを利用したとしても同様です。
示談交渉の段階では、保険会社がこの損害項目を負担することはまずありません。
裁判であっても、一般的には、裁判官は和解による解決を探るものですが、和解の段階では、後述する遅延損害金と合わせて、調整金という名目で一定程度を上乗せすることは行われていますが、10%を認めるのは、和解ができずに判決に至った場合が基本になります。
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