既払金の扱いについて②
2025/12/21
1 はじめに
前回、既払金の扱いについて、費目拘束という考えがあることをお伝えしました。
今回は、より突っ込んで説明します。
2 実際にどうなっているのか
以下、それぞれの種類毎に整理しておきます。
① 加害者の弁済
加害者からの弁済は、弁済の趣旨によりますが、全損害への填補の趣旨の場合は、全損害から控除されます。
② 自賠責保険から支払われた損害賠償額
自賠責保険から支払われた損害賠償額は、人的損害に対するものです。物的損害には填補されないので、物損からは控除されません。人損については、いかなる損害名目で支払われたとしても、人損の全損害から控除されます。
③ 加害者側の任意保険会社からの支払い
任意保険会社からの支払いのうち、対人分は人損全体から、対物分は物損全体から控除されます。
④ 労災保険給付と損害費目との対応関係
保険給付の種類ごとに、控除できる損害費目との対応関係があります。
( )は通勤災害の場合です。
・療養補償給付(療養給付)→治療費
・介護補償給付(介護給付)→将来介護費
・遺族補償給付(遺族給付)→死亡逸失利益
・休業補償給付(休業給付)、傷病補償年金(傷病年金)、障害補償給付(障害給付)→休業損害と後遺障害逸失利益の合計
・葬祭料(葬祭給付)→葬儀費用
・慰謝料→なし
・特別支給金→なし
⑤ 国民年金・厚生年金と損害費目との対応関係
年金の種類ごとに、控除できる損害費目の対応関係があります。
(国民年金)
・障害基礎年金→休業損害、後遺障害逸失利益
・遺族基礎年金→遺族基礎年金
(厚生年金)
・障害厚生年金→休業損害、後遺障害逸失利益
・遺族厚生年金→死亡逸失利益
2 最後に
以上見たように、損害の計算において、既払金がどのように扱われているかは非常に重要です。保険会社の担当者の中にも、十分に理解できていない方も見受けられます。
過失相殺が問題となるケースでは、どこまで差し引かれるかで金額がかなり変動しますので、よく確認することが重要です。
交通事故の被害遭われてお困りの方は、是非、河口法律事務所にご相談ください。
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