会社役員の休業損害について
2025/12/14
1 はじめに
交通事故の被害者の方が、会社の代表取締役等の役員であった場合、休業損害の算出はどのようになされるのでしょうか。
これまで、以下のものを掲載してきました。
・給与所得者や自営業者の場合
・主婦(主夫)の場合
・給与所得者の基礎収入についての考え方
2 会社役員と給与所得者との違い
会社役員の場合、これらとは異なる考え方が取られます。
会社役員は、会社と委任関係にあります。そのため、いわゆる雇用契約を締結しているサラリーマンとは異なります。会社役員の報酬は、必ずしも労務の提供に対して、その対価として得るものではありません
したがって、取締役の場合、直ちに休業によって収入がなくなる、収入が減少するというわけではありません。
会社役員の報酬には労務提供の対価部分としての報酬と、利益配当の実質を有する報酬があると言われています。
裁判例においても、利益配当部分については、役員としての地位にある限り、休業をしても、原則として役員報酬金額に影響がないと考えられるとして、休業損害は認められていません。
一方、役員報酬のうち、「労務提供の対価」と認められる部分には、休業損害は認められると考えられています。
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