経済的全損について
2025/11/05
1 はじめに
交通事故の被害に遭われた方は、相手方の保険会社と示談交渉を行い、適切な賠償を受けることを目指すというのが一般的です。
物損事故に遭い、相手方に、車両の修理費を請求する際に、経済的全損が問題になることがあります。
2 経済的全損とは
経済的全損とは、修理費用が車の時価額を上回った場合をいいます。
経済的全損と評価されるときの、物損の損害額の計算方法は次のとおりです。
(計算式)
損害額=車両の時価相当額①+買い替え諸費用②
①車両の時価相当額
裁判例では、「自動車の事故当時における取引価格は、原則として、これと同一の車種・年式・型、同程度の使用状態・走行距離等の自動車を中古車市場において取得するに要する価額によって定めるべき」(東京地裁平成29年10月3日判決など)と示されています。
時価相当額の算定当たって参照される資料として、いわゆる「レッドブック」(有限会社オートガイド「オートガイド自動車価格月報」)が広く用いられています。その他、インターネットの中古車販売サイトの取引事例、オークションの販売情報、中古車専門誌上の取引情報などを参考にして算出することもあります。
これらの資料をもとに、同一の車種・年式・型、同程度の使用状態・走行距離といった情報をもとに検索し、その平均値などを参考にして評価します。
感覚的なお話になりますが、保険会社は、レッドブックを参考にしていることが多く、中古車販売サイト等の方が高額で算出されているという事案も多く見受けられます。
保険会社が経済的全損と主張して、車両時価額の資料を送付してきても、よく確認することが重要です。
次回、買い換え諸費用について説明します。
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