過失割合と示談②
2025/11/02
1 はじめに
前回、物損で示談した後に、人損で異なる過失割合を主張できるかについて、ご説明しました。
これと少し似た問題として、保険会社が示談交渉の際に、事前に提示した損害賠償金の前提としての過失割合については、拘束力はあるでしょうか。
2 保険会社の事前提示に拘束力はあるか
答えは否です。
保険会社は、「早期円満解決のために譲歩したのであり、訴訟になれば、保険会社の考える過失割合を主張します」という態度で対応してきますし、実際に、示談が成立していない以上は、そのような対応は許されています。
この場合には、客観的な事故態様を基に、裁判所も証拠等を踏まえて過失割合を判断します。
もちろん、事前に保険会社が提示した過失割合は、相応に保険会社として根拠を持ったものでしょうから、極端に変わることは考えにくいですが、私どもが対応している事案では、当初、保険会社は3(被害者)対7(加害者)と提示していたにもかかわらず、訴訟では、7(被害者)対3(加害者)と真逆の過失割合を主張してきたことがあります。
そのため、交渉を打ち切って訴訟を選択する際には、保険会社が事前提示を全てひっくり返してくることがあることを前提に検討する必要があります。
3 最後に
以上見たように、本日は、物損で合意した過失割合や、事前提示で保険会社が示した過失割合に拘束力があるわけではないということをご理解いただきたく投稿しました。
最終的に、交渉で合意するか、交渉を打ち切って訴訟を選択するかの段階において、非常に重要な問題です。
人身傷害補償保険に加入していなければ、まさにこの過失割合の認定によって、得られる損害賠償金の額が大きく異なってくる可能性があります。
過失割合でお困りだったり、決断を迷われていらっしゃる交通事故被害者の方は、是非、河口法律事務所にご相談ください。
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