過失割合と示談
2025/11/01
1 はじめに
交通事故の被害者の方が、損害賠償金をもらう前提として、加害者側の保険会社と交渉するのが一般的だと思います。
その際、最終的に合意が成立すると、示談書を取り交わすと思います。
この示談書ですが、民法上は、裁判外の和解契約といって、れっきとした契約です。
和解契約に至ると、契約した後に、お互い蒸し返すことはできないという意味で、重要な意味があります。
2 物損で示談したとき、人損で違う過失割合を主張できるか
物損と人損の両方が問題となるケースでは、まず先に物損で示談し、症状固定を待ってから人損について示談に至るという流れになると思います。
では、過失割合が問題となるケースで、物損で示談が成立した後に、人損の方で異なる過失割合を主張することは可能でしょうか。
物損で合意した過失割合の内容は、概ね人損でも同じ過失割合で合意に至ることが多いと思います。
しかし、必ずしも物損と同じ過失割合となるわけでなく、被害者側も加害者側も、異なる過失割合を主張すること自体は可能です。
よく見るのは、人損での交渉に納得が行かずに裁判になった場合に、従前と異なる主張が出てくるというケースです。
裁判所は、人損の方で過失割合に合意していない以上、客観的な事故態様を踏まえて判断します。したがって、被害者側としても、有利にも不利にもなる可能性があることを頭に入れて対応しなければなりません。
人身傷害補償保険に加入していれば、過失割合の争点を解消することができることは、これまでのコラムでも述べた通りです
しかし、人身傷害補償保険に加入していない場合は、過失割合が変わり得る可能性があることも踏まえて、損害賠償金について合意するかどうかを決める必要があります。
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