交通事故と破産事件~被害者の破産②
2025/10/24
1 はじめに
前回は、破産するまでの必要がないケースを投稿しました。
以下では、破産が必要なケースを記載していきます。
2 破産を検討するケース
(1)破産手続開始前に示談してい場合
前述の通り、獲得できそうな賠償金では債務の返済について目途が立たない場合には、注意を要します。
まず、破産手続に入る前に示談して賠償金を回収した場合には、それまでの預貯金等を含めた他の資産と合わせて99万円の範囲までは、自由財産ということで手元に残すことができると思いますが、それ以上の金額については、原則としては、破産財団(破産管財人が債権者に配当するための原資となるものです)に組み入れる必要があります。
破産の準備等に入りそうな時期に、破産財団にそのお金を引き継ぐことなく浪費した場合には、免責不許可事由(チャラにしてもらえない事情)になる可能性があります。
(2)破産手続に入る前に示談していない場合
次に、破産手続に入る前に示談していない場合です。
この場合は、損害項目によって、破産財団に組み入れるかどうかが変わってきます。
治療費については、保険会社が医療機関に直接支払っているものと思われますし、そのような処理に問題はないと思います。
休業損害や、後遺障害が残存した場合の逸失利益については、原則として破産財団に帰属します。しかし、これらは、破産者の将来の自由財産の減少分を補填するという意味があり、個別事件ごとに自由財産の拡張が認められるべきであると考えられています。
慰謝料については、金額が定まっていない時点では、自由財産になり、裁判や合意により金額が確定した段階では、破産財団に帰属することになります。ただし、慰謝料は、被害者の人格的価値の毀損に対する損害の填補であるので、その全てを破産財団に帰属させるのは妥当ではなく、かなりの割合で自由財産の拡張が認められるべきではないかと考えられています。
このように、破産手続に入ってからは、明確な指標はありませんが、破産手続前に比べると、交通事故の被害に遭った方の手元に残せるものが多そうな感じです。
3 まとめ
以上のように、多重債務者の方が交通事故の被害に遭われた場合、いつのタイミングで示談をするかも重要な問題になります。
ただでさえ苦しい中、事故にも遭われてより苦しいという状況かと思います。
お困りの方は、是非、河口法律事務所にご相談ください。
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河口法律事務所
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