交通事故と刑事事件⑤
2025/10/18
1 はじめに
前回のコラムでは、刑事事件の流れをメインに記載しました。
刑事事件は、主に加害者が被害者あるいは被告人となって手続にどう関与するかという点が中心でした。
今回は、この刑事事件が、交通事故の被害に遭った方の側から見たときに、保険会社との示談交渉等にどのように絡むのかという観点から記載していきたいと思います。
2 民事の示談交渉の開始時期
まず、刑事事件については、在宅事件と身柄事件に分かれますが、交通事故案件の場合、在宅事件が圧倒的に多いことは前回お伝えしました。
事故後に、警察は、実況見分調書を作成しており、被害者、加害者、あるいは目撃者等の供述調書も作成しています。
これら捜査機関の手元にある書類については、刑事事件の処分が決まらないと、原則開示してもらえません。不起訴の場合には、実況見分調書のみ、有罪判決が確定すれば、検察官が刑事事件で証拠として提出したものは、開示を受けられます。
すなわち、在宅事件の場合には、不起訴であっても起訴されて有罪となった場合であっても、これらの書類の取り付けに時間が掛かるということです。
加害者の保険会社側もですが、警察の作成した実況見分調書は、事故態様や過失割合の検討に当たって、重視しております。そのため、事故態様や過失割合に関し、お互いの言い分が異なる事案の場合には、刑事事件が終了しなければ、民事の示談交渉が進められないという状況になることがほとんどです。
追突等で0対100であることが明らかな事案に関していえば、必ずしも刑事事件を待つ必要な無いかもしれませんが、それでも、関係証拠の精査をしてから民事の交渉を進めるという対応をすることは多くなると思います。
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