高齢者の逸失利益について~死亡事故のケース
2025/09/17
1 はじめに(逸失利益についてのおさらい)
交通事故の被害に遭われた方は、相手方の保険会社と示談交渉を行い、適切な賠償金を獲得するために努めるのが一般的です。
交通事故の被害に遭われた方が亡くなってしまったり、後遺障害が残存したりした場合、逸失利益が問題となります。
逸失利益とは、その被害者において事故がなければ得られたはずの将来の利益のことをいいます。 逸失利益は、基本的には将来の収入を現在に割り戻して算出します。
これまで、本サイトのページやコラムでもたくさん投稿してきています。
今回は、死亡事故の場合の逸失利益についておさらいしたいと思います。
2 死亡事故の逸失利益
死亡事故が発生した場合、被害者の相続人は悲しみに暮れる日を送ることになります。四十九日が明けると、相手方の保険会社も示談の提案をしてきます。
事案が事案なだけに、神妙な態度で提案をしてきますが、提案内容を確認しないままに印鑑を押していいのでしょうか。
高齢者の死亡事故の場合、給与収入や年金収入の逸失利益と死亡慰謝料が問題となります。
本日は、このうち、年金収入の逸失利益についてお話します。。
3 年金の逸失利益性
年金の逸失利益性について、老齢基礎年金や老齢厚生年金等の老齢年金,退職共済年金等の退職年金,障害基礎年金や障害厚生年金等の障害年金については,逸失利益性が肯定されますが,遺族厚生年金や軍人恩給の扶助料等の遺族年金については,逸失利益性が否定されます。
逸失利益性が認められる年金の計算式については、以下の通りです。
【年金年額×(1-生活費控除率※①) ×生存可能年数に対応するライプニッツ係数※②】
①の生活費控除率は、男性については30~50%程度(一家の支柱で30~40%、独身で50%程度)、女性については30%程度とされることが多いですが、年金生活者の場合は,年金収入に占める生活費の割合は高まるのが一般的なので,生活費控除率は50%~70%に引き上げられることが多いです。
②のライプニッツ係数は、例えば67歳を超える方の場合は、平均余命の2分の1とされていますが、年金の場合には2分の1の差し引きはありません。
このように、通例の死亡逸失利益と比べて、計算式がやや異なっているので、注意が必要です。
3 まとめ
以上のとおり、高齢者の方の逸失利益(年金)について述べてきました。
河口法律事務所では、死亡事故も多く対応してきておりますので、交通事故の被害に遭われた方、あるいは、そのご遺族の方でお困りの方は、是非、河口法律事務所までご相談ください。
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